街頭調査を行うためには場所の確保が必要
アンケート調査はどのような調査方法で実施する場合でも十分な準備が必要ですが、街頭調査の場合には事前の調整が特に重要です。最も重要なのはここで取り上げる調査場所の確保です。調査の場所はどこでも良い、ということではなく、アンケート調査の意図に沿った地点に設定することが必要です。よくあるパターンとして、ショッピングモール等の商業施設の評価を実際の訪問者に質問する調査があります。このような場合は商業施設の管理者が協力的なのでスムーズに実施できることが多くなります。
これに対して、例えば新製品について消費者の意見を聞きたいので、街頭調査を行いたい、という場合は調査場所の選定が難しくなります。
公道の場合は道路使用許可が必要
街頭調査を公道で実施する場合は、道路使用許可をとる必要があります。道路使用許可は調査を実施する道路を管理する警察署に相談の上申請します。申請自体は難しいものではありませんが、申請する調査の場所や調査時間等で調整が必要がありますので、事前相談、申請から許可証が出されるまで数日程度見ておく必要があります。
なお、道路使用許可は申請すれば必ず許可が得られるとは限りません。アンケート調査の必要性や、交通への影響など総合的に判断されます。なお、東京都の中心部では原則としてアンケート調査での道路使用許可を得ることは難しくなっています。
場所の確保以外の留意点
場所の確保以外にも、街頭調査では次のような留意点があります。
- 調査票:街頭調査はその場で回答いただくことが原則ですので、長い時間回答してもらうのは難しくなります。質問はA4・2ページ程度が望ましいといえます
- 調査時間:調査の開始は10時頃からが多くなりますが、11時開店の店舗が多い地域などはスタートが遅めです。終了は冬場は16時頃には暗くなりだしますのでその頃までになります。夏場であれば18時頃まで実施可能です
- 季節要因:冬は寒い、夏は暑い、梅雨や秋雨・台風の時期は雨が多いなど、季節的な要因を考慮することが必要です
- 天候要因:天候が安定している時期であっても急な大雨などによる中止の可能性がありますので、予備日を設定するなどの対応が必要です
都内繁華街では調査が難しい
街頭で生の消費者の声を聴きたい! 特に東京の繁華街で! というご希望をいただくことがあります。しかしながら、実際には都内の繁華街での街頭調査は非常に難しくなっています。まず公道での調査は警察の道路使用許可が基本的に下りないと考えた方が良いと思います。これは行政が行うような調査でも難しいのが現状で、一般のアンケートであれば許可を得ることはほぼ不可能です。
東京の繁華街で街頭アンケートをやっているように見える場合、次のようなパターンがほとんどです。
1.公道に見えるが実際は公道ではない
公道に見えて公道ではないケースがあります。例えば駅周辺であれば鉄道用地の場合があります。歩行者用のペデストリアンデッキなどは地方公共団体が管理しているケースがあります。公園なども地方公共団体の管理下のものがあります。このような場所は鉄道会社やその地方公共団体がらみの調査であれば実施可能になることがあります。
また建物の敷地内や広場だったり駐車場などの場合があります。例えば、ショッピングモールで来店者にアンケートを実施するような場合です。一見歩道に見えてショッピングモールが管理している区域、ということはあり得ます。この場合も公道ではありませんので、所有者の許可が得られれば調査を実施することは不可能ではありません。
2.アンケートを実施していない
アンケート調査をその場で実施しているのではなく、アンケート会場に誘導するためにチラシを配布したり、看板を掲示しているなどのケースがあります。このような場合には会議室などを用意して実際のアンケート調査はそちらで実施します。
チラシの配布、看板の掲示であれば道路使用許可が得られることがありますので、対象者のリクルーティング(募集)だけを公道で実施していることになります。この方法をとればアンケート調査を実施可能ですが、会議室などの準備が必要ですし、場所を移動することで協力率も下がりますので手間とコストがかかってきます。
3.その他
アンケート調査ではなくマスコミの取材の一貫として行われている場合があります。また、許可をとらずに公道でアンケートをとっているケースもあり得ます。
いずれにせよ東京の繁華街では街頭での調査はハードルが高く実施は困難です。公道では対象者募集のみを行うか、特定の場所にこだわりがない製品についての調査などでは都内繁華街以外の場所で調査を行うかなどの対応が求められます。
まとめ
以上のように街頭調査は場所の確保が重要です。どのようなケースでも事前の調整が必要ですので、実施までに時間を要します。天候による延期などを考えると余裕を持ったスケジューリングが必要です。また公道での街頭調査は許可が出ないこともあります。特に都内の繁華街は難しい状況です。
当社にも街頭アンケート調査のご相談がありますが、調査員さえ手配できれば短期間でできると思われがちで、実際にそのようなお問い合わせをいただくことがあります。街頭調査の実施には事前が大変重要ですので、十分な準備期間をとることをお勧めします。