コレスポンデンス分析はアンケート調査でよく利用される分析方法の一つです。クロス集計の表側と表頭に用いられた項目のカテゴリーを散布図で表すものです。「コレポン」と略されることもあります。難しく言うと多変量解析の一つで、日本では対応分析とも呼ばれます。このコレスポンデンス分析がよく利用される理由をみていきます。

理由1:わかりやすい

コレスポンデンス分析では、類似度・関係性の強い要素同士は近くに、弱い要素同士は遠くにプロットすることで相対的な関係の強さを表します。ブランドイメージなど競合関係を見せる形でプレゼンテーション等の説明資料によく用いられます。下記のように一目で分かるというメリットがあります。

アンケートの項目数が多くなると、帯グラフなどでは見にくくなりますが、散布図化することで見やすくなります。

コレスポンデンス分析の例

理由2:多くのツールで搭載されている

コレスポンデンス分析は、一般的な分析方法ですので、多くの統計解析ツールで利用可能です。Excelには標準搭載されていませんが、マクロやアドインなどで利用可能です。当社で主に利用している”Excel太閤”にも搭載されています。またフリーのソフトウェアでもコレスポンデンス分析を行えるものがあります。SPSSやR、JMPなどの統計ソフトでも利用することが可能です。特にSPSSは初期から英語版では利用可能であったため、コレスポンデンス分析の普及した要因となっています。

このように多くのツールで分析機能が搭載されていることから、比較的容易に結果を得ることが可能であることも良く使われる理由の一つです。

理由3:集計表があれば作成できる

コレスポンデンス分析は、個別の回答データが無くても作成できます。クロス集計表(分割表)があれば、その結果からコレスポンデンス分析が可能なのです。これは大きなポイントで、多くの多変量解析は集計用データ(ローデータ)がないと、分析できません。コレスポンデンス分析であれば、例えば行政などのオープンな集計表を元に作成することができます。

プロジェクトの前段階などで、アクセスできる情報が限られている場合に既存の資料からビジュアルに優れた分析が作成できるので、プロジェクトの企画・提案段階から作成することできるのです。このような特性から広告代理店やコンサルティング会社で、コレスポンデンス分析はよく利用されています。

分析にあたっては課題も

コレスポンデンス分析は、メリットが多いのですが、視覚的な表現が優先されてしまい分析が正確に行われない可能性がある、というデメリットがあります。分析結果を解釈するためにはクロス集計表の確認が必要です。

また、作図された図の縦軸、横軸には統計上の意味がありませんので、分析者が解釈することになり、バイアスが生じる可能性があります。

まとめ

コレスポンデンス分析は、アンケート調査で一般的なクロス集計分析を視覚的に表現するためには優れた手法です。課題もありますが、うまく活用することで説得力のあるレポートの作成が可能です。特に項目が多く、集計表や帯グラフでは表現が難しい場合などに有効な手法です。